本と「ときめき」

お題「我が家の本棚」

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

我が家には本棚が9台あります。(今、9台と書くにあたって、本棚の数え方が思いつかなくて検索しました。本棚は一台、一本、一架と数えるそうです。最初9個と書いて、いやそれはないだろう、と思ったのですが、ちゃんと調べないと己の無知を晒すことになるところでした。)一人目の子どもが小学校に進学する際に、教科書や副読本や学習に必要な図鑑、事典、辞書類を収納するために購入した高さ160センチ強のずっしりした木目調の本棚(通信販売のニッセンで2万くらいでした。)1台、独身時代に使っていた無印良品のパイン材ユニットシェルフ高さ120センチ・幅86センチ・奥行26センチ(を本棚として使用)3台、二人目の子どもが生まれて引越しをする際に部屋が広くなったことをいいことに調子に乗って購入した同じく無印良品の同ユニットシェルフ高さ120センチ・幅86センチ・奥行き39.5センチ2台、文庫本収納用のもの3台。改めて数えてみると、我が家はその専有面積に対してずいぶんたくさんの本棚を所有しているな、という印象です。しかし、さらに驚くべきことに、現在本棚が全く足りておらず、つまり我が家の本棚に収まりきらなかった本がクローゼットや学習机の下に押し込められているのです。

家にあふれる「もの」を「ときめき」を基準に取捨選択する「片付けの魔法」(この「片付けの魔法」がブームになる10年ほど前に『「捨てる!」技術』という新書がベストセラーになりましたが、「もの」があることこそが豊かさの証であるという価値観はそのころから時代遅れになりつつあったのでしょう。)を提唱し、多くのベストセラー書籍を上梓し、今はアメリカで活動されているこんまりさん(近藤麻理恵さん)によると、本を捨てるには、本棚の本をすべて取り出し床に置いて、1冊1冊手に取りながら「ときめく」か「ときめか」ないかを確認すると良いのだそうです。また、この時本のページをめくるとついつい読みふけってしまうので、手に取って数秒で「ときめき」を見極めるのがポイントだそうです。

確かに「ときめく」本だけが収納された本棚はすっきり見栄え良く、またそのような本棚のある部屋で生活したら思考もすっきり明晰になるのかもしれません。しかし「ときめき」という幼稚で自己愛が強いイメージがある言葉でもって、知識と理性の象徴である「本」の要不要を判断しようとすることには大変な違和感があり、私は好きになれません。

わたしは本に対して「ときめき」などと言う思い入れはありませんが、我が家の本棚と本棚以外に収納されている本は、それを読むことによって、私の中の何かが決定的に変わってしまったり、逆に、私は何も変わる必要はないなと納得したりしたわけなので、それらは私自身の何パーセントかを形成していると思っています。私のいいところも悪いところもおかしなところもつまらないところも、本を読むという経験がほんの少し影響しているので、まあ、本は私の一部であるという言い方もできるのではないでしょうか。

私は私に「ときめいた」りはしませんが、かといって「ときめか」ない私自身を断捨離しようなどとは当然思わないわけで、それは本についても同じことが言えるのかもしれません。

追記:私の文章がダラダラと読みにくいのは、「ときめき」度外視の本が雑然と並べられている本棚に囲まれて暮らしているせいかもしれません。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

本は朽ち 屍は腐り 春が来る